化学物質の健康影響は「どれだけの量が・どの経路で・どのくらいの期間入ったか」で決まります。この3軸を理解すれば、初見の問題でも正解を導けます。
急性毒性と慢性毒性の比較
| 項目 |
急性毒性 |
慢性毒性 |
| ばく露の特徴 |
短時間の大量ばく露 |
長期間の少量ばく露 |
| 発症の時期 |
数分〜数時間以内 |
数ヶ月〜数年後 |
| 症状の特徴 |
強い症状(意識障害・けいれん等) |
徐々に進行(気づきにくい) |
| 代表例 |
一酸化炭素中毒・有機溶剤急性中毒 |
じん肺・騒音性難聴・慢性鉛中毒 |
3つのばく露経路
| 経路 |
特徴 |
主な物質の例 |
| 吸入(最も多い) |
揮発性物質が気化して肺から吸収 |
有機溶剤・有害ガス・粉じん |
| 皮膚吸収 |
脂溶性物質が皮膚のバリアを通過 |
有機溶剤・農薬・ニトロ化合物 |
| 経口(まれ) |
手についた物質を口から摂取 |
汚染された手での飲食 |
重要:吸入対策(マスク)だけでは皮膚吸収を防げません。脂溶性の高い物質は保護手袋も必要です。
蓄積・感作・代謝の違い
| 概念 |
内容 |
例 |
| 蓄積 |
体内に分解されず蓄積される |
鉛(骨)・有機塩素化合物(脂肪) |
| 感作 |
一度ばく露すると次から過敏反応が起こる |
職業性喘息・接触性皮膚炎 |
| 代謝 |
肝臓で分解・変換されて排泄される(代謝産物が毒性を持つ場合もある) |
有機溶剤の大半 |
試験で狙われる頻出ポイント
- 「慢性毒性は短時間の大量ばく露で起こる」→ 誤り(長期少量が慢性毒性)
- 「防毒マスクがあれば皮膚吸収の対策は不要」→ 誤り(皮膚吸収には保護手袋が必要)
- 「代謝産物は必ず無害になる」→ 誤り(代謝産物が元より毒性が高い場合もある)
- 「感作した後は少量のばく露でも発症する」→ 正しい
- 令和7年後期 第83問(急性・慢性毒性)
- 令和6年後期 第84問(ばく露経路)
- オリジナル問題 第46問(感作)